ドイツ 硬水対策完全版

欧州在住者は避けては通れぬ道、硬水との戦いかたを伝授します。
硬水地域の欧州に住むと避けては通れぬのが、カルキとの戦いです。
電気ケトルやシンクにこびりつく白い水垢、何故か淡いブルーに染まる白い洋服たち、乾燥する肌、ごわつく髪の毛、この恐ろしい現象の要因は水道水に含まれる「カルキ」が原因です。敵を倒すには、まず敵を知ることが大切です。カルキについて勉強していきましょう。この記事ではカルキ対策から除去方法まで、カルキとの戦い方を伝授いたします。
日本でのカルキ・ドイツでのカルキは違う!?
日本でのカルキ
日本でいうカルキとは「次亜塩素酸カルシウム」のことを指します。
いわゆる、プールの水を消毒する”塩素”のことです。
日本の水道水が塩素を加えて殺菌を行う理由は、日本ではダム湖や川などの地表水を水源としているため微生物の殺菌を行う必要があるからです。日本の水道法では微生物の消毒のため、蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上に保持することが定められています(水道法施行規則第17条第1項第3号)。そのために次亜塩素酸カルシウム、通称塩素を使用して水道水の殺菌を行っています。水がカルキ臭い!というのは、お水は塩素臭いのと同義になるという事です。
ドイツでのカルキ
一方でドイツでのカルキ(Kalk)とは、主に4種類のミネラル成分である「カルシウム・ナトリウム・マグネシウム・カリウム」のことを指します。
気づきましたか?同じ「カルキ」でも日本とドイツでは指す物質の内容が異なっているのです。日本でいうところのカルキ、つまり塩素はドイツ語でChlorkalk(クローアカルク)、一方でドイツでいうところのカルキ、つまりカルシウムなどのミネラル成分はドイツ語でKohlensaurerkalk(コーレンゾイラーカルク)と言います。ドイツ語では語尾に両方「kalk(カルキ)」という言葉が入るため、混同され日本とドイツで違う意味で使用されてしまったのではないかと思います。
日本語 | ドイツ語 |
次亜塩素カルシウム(塩素) ※日本でいうカルキ | Chlorkalk(クローアカルク) |
カルシウム・ナトリウム・マグネシウム・カリウムなどのミネラル成分 ※ドイツでいうカルキ | Kohlensaurerkalk(コーレンゾイラーカルク) |
ちなみに、ドイツでは1991年の水道法改定以来、飲料水の塩素消毒は禁じられており、代わりにオゾン処理、紫外線照射が水道水の消毒に用いられているため、ドイツの水道水は人工的に塩素は加えられていません。
私の旦那(ドイツ人)が日本の水道水を飲んだ時に「クローアカルキ(Chlorkalk)」の味がして好きじゃない」と言ったのを聞いて、日本人プライドを爆発させた私が「そんなわけない!日本の水は軟水だから美味しいんだ!」と的外れな回答をしたことがありますが、水の硬度と塩素の味を感じるかどうかは全く別の問題ということです。
水垢と水の硬度
水垢の正体
ずばり、カルシウムやマグネシウムが空気に触れ、化学反応を起こし石灰化して固まったものです。つまり、水道水中にどれくらいのカルシウムやマグネシウムが含まれているで水垢がつきやすいか否かが決まるということです。
ドイツの水道水は60%以上が地下水を水源としているため、地層からのミネラル分が多く含まれており、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が多く含まれる硬水であるため、水回りに白い水垢が多く付着してしまうのです。
水の硬度とは
水の硬度とは、水1,000mlに対してどれくらいカルシウムとマグネシウムが含まれているかを示したものです。

WHOの指標に沿って測定すると、日本は沖縄以外の水道水は軟水、ドイツの水道水は硬水に分類されます。言い換えると、日本の水道水には、カルシウムとマグネシウムの含有量が少なく、ドイツの水道水は非常に多く含んでいるという事です。
地域別ドイツの水の硬度
ドイツ国内の水道水の硬度は地域によって大きく異なります。ドイツでは独自の水の硬度を示す指標を採用しており、硬度を °dHで表します。お住まいの地域はいかがでしょうか、ちなみに私が済むデュッセルドルフはバリバリの硬水地域でございます。
軟水(weich) | 0~8.4°dH |
中程度(mitel) | 8.4~14°dH |
硬水(hart) | 14°dH~ |
ご自身のお住まいの地域が見つけられない方は、ドイツ国内の水の硬度を郵便番号から検索できるサイトがあります。↓

ドイツ国内で販売されているミネラルウォーターの硬度を検索できるサイトはこちら。

Stadt | Wasserhärtegrad |
Berlin | 19,5 °dH |
Bielefeld | 11,4 °dH |
Bochum | 6,7 °dH |
Bonn | 5,8 °dH |
Bremen | 10,1 °dH |
Dortmund | 7,9 °dH |
Dresden | 10,3 °dH |
Duisburg | 15,3 °dH |
Düsseldorf | 15,6 °dH |
Essen | 7,1 °dH |
Frankfurt | 8,5 °dH |
Hamburg | 7 °dH |
Hannover | 11,8 °dH |
Köln | 15,2 °dH |
Leipzig | 13,5 °dH |
München | 14,9 °dH |
Münster | 15,5 °dH |
Nürnberg | 11,8 °dH |
Stuttgart | 10,5 °dH |
Wuppertal | 8,6 °dH |
水の硬度が高ければ高いほど、カルキとの戦いは激しさを増していきます。敵を知れたところでさっそく戦い方を学んでいきましょう。
ドイツでのカルキ対策
水回りや電気ケトル

クエン酸(Citronensäure)
dmやRossmannなどドラックストアなどで簡単に手に入れることができます水回りや電気ケトルの清掃には口に入っても安全なクエン酸がおすすめです。写真の商品は粉タイプですが液体タイプも販売されています。

Before
新品から毎日使用して一週間でこの状態です。透明のケトルを使用していない方は気づきにくいかもしれませんが、水垢を放置したままだと故障の原因になるので早めに対処しましょう!

使い方
冷たいお水1,000mlに対して、クエン酸40-60gを溶かし入れます。そのままケトルの電源を入れ沸騰させない程度に温めます。その後10分間そのまま放置し、中をよくすすいでください。

After
新品だったころの輝きを取り戻しました!2週間に一回はクエン酸で掃除をしています。
ケトル掃除に使用したクエン酸水をキッチンペーパーなどにしみこませ、シンク周りの水垢が気になるところを拭いてしまえば一気に掃除できるのでおすすめです。こちらで紹介したクエン酸は、コーヒーマシーン、洗濯機、やかん、お鍋、食器洗浄機、シャワーヘッド、ステンレス、プラスチック、セラミック、クロム加工など様々な物や素材に使用できるので一家に一つ常備しておきましょう。
洗濯
硬水地域での洗濯ではいくつかコツが必要です。カルキ対策を怠ると硬水の影響で白い洋服がグレーに褪せたりすることがあります。選択のコツは
1.カルキ対策を行う
2.洗濯の温度に気を付ける
3.洗剤の量を守る
4.濃い色物は分けて洗濯する(できれば色物用、白い物用など洗剤を分ける)

カルキ対策(硬水軟化剤)
Anti-kalk-gel、gegen Kalk、schutz vor Kalk、Kalk-stoppなどカルキ対策とパッケージに表示されたものです。カルキは洗濯機の故障の原因にもなり得ますのでマストです。私はdmの液体タイプを使用しています。タブレットや粉末など様々なものがあるので自分に合ったものをチョイスしてください。

ドイツの一般的な洗濯機です。
左側にカルキ用洗剤を投入しましょう(洗濯機の汚さはご容赦ください…)

洗剤の量を守る
水の硬度によって洗剤の量が細かく決まっていますので、規定量を守りましょう。多すぎても少なすぎてもダメです。私が住んでいるデュッセルドルフでは、硬度が15なので(HART)、1キャップと1/4をが規定量です。

洗濯の温度
温度が高くなると硬水に含まれるカルキの結晶化が始まりますので洗濯の温度はなるべく低く設定しましょう。40度以下が理想です。使用する洗剤によっては温度が一定以上でないと溶けないなんて事もあるので、使用する洗剤にも気を付けましょう。
まとめ
水垢の原因はマグネシウム・カルシウムが豊富なドイツの硬水が原因です。
自分の住む町の水の硬度を確認して対策を講じましょう。水回りにはクエン酸、洗濯の際にはカルキ対策の洗剤をお忘れなく!
硬水とうまく付き合ってドイツ生活楽しんでいきましょう 🙂
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