ドイツ 帰ってきたタピオカ

タピオカ暗黒期を抜けて、第二次タピオカブーム到来!?ドイツのタピオカの歴史を紐解こう。
日本でも数年前から爆発的ブームになった「タピオカ」。
2021年の現在のドイツでも若者を中心に愛され、街のいたるところでタピオカ屋さんを目にすることができます。
そんなドイツのタピオカ事情ですが、今から11年前の2010年に第一次タピオカブームが到来し200店舗近いタピオカ専門店があったにも関わらず、「ある噂」をきっかけに1年でほぼ全てのタピオカ店が倒産するという形でブームは終わりを告げました。
当時のドイツで何があったのか、また一度消えたタピオカ店が何故再びドイツ全土で人気を博しているのか、ドイツのタピオカの歴史を紐解いていきましょう。
第一次タピオカブーム
2010年のドイツ、若者の間でタピオカブームが到来しました。
台湾で1980年代に誕生したタピオカドリンクが、海を渡りアメリカでブームになり、やがてドイツにも上陸したのがきっかけでした。
筆者のドイツ人夫はタピオカブームが到来した2010年当時15歳、本当に街のいたるところにタピオカ屋さんが出現、若者長蛇の列をなし、友達と遊びに出かけたら必ずタピオカを飲んだ思い出があるそうです。
当時のタピオカ専門店の数はドイツ全土で200店舗程で、そのうちのほとんどがブームが到来してから1カ月もたたない内にお店を続々と出店し、マクドナルドなどの大手ファストフードチェーン店も販売するほど、まさにタピオカラッシュでした。
街から消えたタピオカ
そんな若者に絶大な支持を得ていたタピオカが、2012年以降、忽然と街から姿を消しました。
その理由は「タピオカに発がん性物質が含まれている可能性がある」という記事が公になった事がきっかけだったのです。
アーヘンにある研究所によると、ドイツ全土で展開するあるタピオカ専門店のタピオカを顕微鏡で観察すると、スティロールやアセトフェノンといった通常食品に含有されてはけない成分が検出されたとの記事が世間で出回ったのです。
その記事については論文が発表されたわけでも、データが示されたわけでもない、一新聞社が掲載した記事でしたが、その影響力は大きく、ドイツ全土でタピオカ専門店の倒産が余儀なくされました。
特に子供や若者の間で流行した飲み物だったため、親世代からの反発も強く、タピオカブームは瞬く間に去っていきました。
あとの祭り
2012年に出回った「タピオカの発がん性に関する記事」によって、ドイツ全土のタピオカ店が倒産に追い込まれたわけですが、その記事は科学的根拠がなく信憑性に欠けるものでした。
真相はアーヘンのある研究所で新しく導入された機器で試しにタピオカを調べてみたところ、機器の操作を誤ってしまい間違った結果が表示されたのが事の始まりだったのです。
公式の研究結果ではなかったにも関わらず、どこからかその情報が独り歩きを始め、新聞記事として出回ってしまったのでした。
その記事が出回った数か月後、アーヘン工科大学とカールスルーへの研究機関が共同で、30種類のタピオカを再度調査したところ
発がん性物資は検出されず、むしろグラス一杯のコーラの方がよっぽど健康被害が大きいとの研究結果を発表しました。
ですが、そんなことはあとの祭り。
すでにタピオカで一花咲かせようと夢を見たアジア系移民やタピオカ専門店の経営者達は
多額の負債を抱えることとなったのです。
さらに根拠のない情報を記事にした新聞社が罪に問われることはありませんでした。
第二次タピオカブーム
街で見かけることがなくなったタピオカですが、2017年ごろからじわじわと再びドイツでブームが再燃し始めます。
その火付け役は「TikTok」や「Instagram」といったSNSの流行です。
カラフルなタピオカや、様々なフレーバー、見た目の可愛さなどが話題となり、SNSを利用する若者を中心に大バズり。
さらにコロナ渦でのテイクアウト需要も相まってタピオカは瞬く間に若者のトレンドに返り咲きました。
インターネット上でも、あの「発がん性物質」の話はまるでなかったかのように、見つけることができません。
こちらのグラフからも、2012年のブームからタピオカ暗黒時代があり、2018年辺りからタピオカのGoogleの検索件数が急上昇しているのがわかります。
このタピオカブームは現在も拡大しており、2019年に24億米ドルだった市場価値が、2027年には43億米ドルになると予測されています。
まとめ

街のタピオカ屋さんに並んでいる年齢層を見ると、10代の若い方の他に、20代半ばくらいの方たちもよく目にします。
幻の第一次タピオカブーム時に子供だった世代が大人になって、あの頃を懐かしんで飲んだりしているのかもしれません。
参考サイト:https://www.sueddeutsche.de/panorama/bubble-tea-kultgetraenk-rueckkehr-1.5271700
https://www.br.de/kultur/gesellschaft/bubble-tea-comeback-100.html